My Happy Ending

考えてること、感じたこと、だらだらと。

ムービング

ディズニー+に加入してみた。

目的はムービングの視聴。

 

これはめちゃめちゃ面白い。

まずストーリー構成がとても好き。

前半部分に現代の子ども世代の物語が展開される。

子ども世代の中心として描かれるボンソクがめちゃめちゃかわいい。

飛行能力を持っていて、感情によって能力を制御できなくなる欠点がある。

ぽっちゃりなボンソクがふわふわと浮いている姿がとてもかわいい。

 

そして後半部分はボンソクたちの親世代の物語になっていく。

前半部分はキラキラとした青春が描かれているが、後半の親世代は一転して暗部を描いている。

それは当時の韓国を含む世界が不安定だったことから、能力者たちは国に搾取されていた。

時代の波と国家の闇が後半にどっと押し寄せてくる。

それでもボンソクの母ミヒョンと父ドゥシクの出会いや恋愛なども描かれ、未来への布石が少しずつ広がっていく。

 

親世代がもがき戦い、その結果として前半部分のボンソクたちの青春が描かれていることがわかると壮大な物語を見ているようだった。

 

力を持つからこそ、怪物にでも英雄にでもなれるのだと素晴らしいストーリーだった。

 

まだ回収されていない伏線もいくつかあるので、続編が楽しみだ。

 

52ヘルツのクジラたち

町田そのこさんの本を初めて手に取ってみた。

映画化されるのを知っていたこともあるし、何より表紙に惹かれた。

いわゆるジャケ買いしてみた。

 

52ヘルツのクジラの存在をこの本で初めて知った。

普通のクジラとは鳴き声の周波数が違うので近くにいても意思伝達ができない。

だからこそ世界一孤独な存在と言われている。

そんなクジラとこの本に登場する人たちを重ねている点がより過酷な境遇を描いていると思った。

 

ーーあのときのわたしは、52ヘルツの声を上げていた。

その一文だけで泣けてくる。

 

主人公の貴瑚(キコ)と愛(イトシ)は親から虐待を受けていた。

かつての自分を52ヘルツのクジラと重ねたキコはイトシと心を通わせていく。

そしてキコを救い出してくれたアンさんも、物語が進む中で52ヘルツのクジラだったと明らかになる。

 

虐待を受け、誰にも気づかれない、誰も助けてくれない

どれだけの孤独だろうか。

でもアンさんが抱えていたものを知ったときのその孤独の大きさも計り知れないものだった。

 

孤独は誰にもわかってもらえないのかもしれない。

でも声をあげないと伝わらない。

そして声をあげても聞いてくれる人がいなければ意味がない。

 

わたしはきちんと声を聞ける人だろうか。

わたしはキコやアンさんのような大人になれているだろうか。

 

願わくばこの世界から52ヘルツの声をあげる人がいなくなりますように。